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入会フォームへ ↗評価、教材づくり、スピーキング練習。2025年8月3日、静岡駅直結の会場に集まった教員たちが、「AIを使う」その先にある授業と仕事のつくり方を考えました。
現場の実践から、授業づくりと働き方のヒントをレポートします。
この日を貫いていたのは、AIの性能そのものよりも、「教師が何を大切にし、何を改善したいのか」を言葉にすることでした。発話のどこを伸ばすのか。どんな評価基準なら人にもAIにも伝わるのか。現場の困りごとを、どう小さな仕組みに変えるのか。3つの実践から、AI時代の授業づくりを振り返ります。
発表で紹介された3名の高校生の1回目→2回目の発話例。少人数の事例として、発話量や複雑性の変化が検討されました。
発表では、生成AIを利用した英語スピーチ評価の仕組みを使い、教師が設定した観点に沿って生徒が即時にフィードバックを受け、もう一度話す授業構想が紹介されました。ねらいは、言語形式に焦点を当てた練習量を確保し、学習改善につながる情報をその場で返すことです。
特徴的だったのは、「流暢さ4点」のような段階評価だけで終わらせず、AS-unitあたりの平均語数・平均節数、語彙の多様性(MTLD)など、発話を構成する言語的特徴を数量的に見る発想です。「接続詞を使って節を増やす」「同じ主語の繰り返しを減らす」など、次の練習で何を変えるかまで具体化します。
前半では、発話をどう評価するかについて、三つの方法が並べて検討されました。ホリスティック評価は「あなたの発話の流暢性は4です」と数字が返るだけで、学習者は次に何を変えればよいのかがわからない。評価者間の信頼係数が高いからといって、評価者それぞれが段階評価の数値に同じ意味を見出しているとは限りません(Isaacs & Trofimovich, 2012)。
ルーブリック評価は、生徒のパフォーマンスを即座に評価してフィードバックを返せる簡易さの点では有効に機能する可能性がある一方(Bachman & Damböck, 2018)、評価者の主観の域を出ず、数量的な測定は通例行われません。ルーブリックによる段階評価と、Coh-Metrix(コンピュータを利用したテキスト分析システム)による客観的な計量的言語分析の結果は、必ずしも一致しないことも報告されています(Ito & Hamada, 2023)。
これに対してAIを用いた評価では、言語的特性の数量的な測定が瞬時に行われます。ここでいう言語的特性とは、「スピーキング能力」といういわゆるラベルを構成する潜在的な言語指標のこと。発話中に使われた語彙の種類がいくつあるか、1つのスピーチユニットに何語含まれているか、といった水準で発話をとらえ直す考え方です。

評価は、点をつけて終わりじゃないんだね。「次に何を変えるか」が見えると、評価そのものが練習の設計図になるよ。
第2部は、現場のニーズに合わせてAIと一緒に小さなツールを作るワークショップ。生成AIの知識を得るだけでなく、自分の業務のどこに時間がかかっているか、理想はどういう状態かを先に整理し、その差を埋める仕組みを考えました。
プロンプトのコツとして示されたのは、「はっきり具体的に聞く」「前提・全体像を伝える」「一度に全部聞かず、1つずつ進める」という3点。生成AIを魔法の自動作成機として扱うのではなく、対話しながら完成形を近づけていく方法です。
発表資料では、成績入力から能力別の分析やアドバイスを出すExcelの試作例も紹介されました。AIの助言をもとに約15分で形にし、その後、評価基準や関数の確認を追加で指示する――という、現場らしい試行錯誤が共有されました。
「高度な開発者になる」ことが目的ではなく、現場の課題を言葉にし、試作品をすばやく作って検証できることがポイント。

「AIで何ができる?」から始めるより、「この作業、毎回つらい!」から始めるほうが、使えるツールになりそう。困りごとは立派な開発要件だね。

発表では、和文英訳・自己紹介文・英検形式のライティングなどを使い、手書き答案の読み取りと採点を体験しました。
第3部では、手書き答案を撮影し、AIが読み取り・採点・添削・評価を返す実践を入口に、採点ルーブリックとプロンプトをどう設計すれば、判断のぶれを減らせるかが検討されました。
中心にあったのは「観察可能な段階をどう作るか」という問いです。「よく書けている」「豊かな表現」といった言葉は、人間同士でも解釈がずれます。AIにとっても同じです。何を満たしたらAなのか、どの誤りならどの段階なのか。教師の頭の中にある評価観を、他者が読める言葉に変える必要があります。

AIにうまく伝わらないとき、「AIが分かっていない」で終わらず、自分の基準を説明できるか考えてみる。そこに、先生自身の学びもあるんだね。
振り返りフォームから、当日の空気が伝わる声を抜粋・要約しました。
授業や業務に使えそうな話が多かった。AIへのプロンプトの与え方を、いろいろ試してみたい。
ためになる内容だけでなく、居心地よく楽しい時間だった。研究会に参加したいと思った。
AIツールは「買って使うもの」だと思っていたが、自分でもさまざまなものを作れると気づいた。
作文指導が増え、採点に苦労している。今日の話を、より効率的な指導につなげたい。
「AIを使うことで人間理解が深まる」という話が印象に残った。より良い指示を考える過程は、教育にも似ている。
スピーキング評価の教員差を減らせそうな点や、手書き答案を高い精度で扱える可能性に驚いた。
業務をどう減らすか、生徒にはどうAIを使わせるか、評価をどう揃えるか。教員養成に関わる参加者からも、高校現場の苦労を知れたことや、別の角度からAI活用を考えたいという声が寄せられました。
良いフィードバックも、良い採点も、まず教師が何を見るかを明確にするところから始まる。
「良い」「豊か」ではなく、何ができているかを説明できる基準が、人にもAIにも必要。
毎日の転記や集計など、身近な面倒を試作品に変える力が、教員の選択肢を増やす。
教員が現場のニーズを言葉にし、専門家が持続可能な仕組みにする。その往復が必要になる。
教員がちょっとしたツールを自作できることは、大きな力です。一方で、「何でも教員が作ればよい」「無料で作れる範囲だけでよい」では、忙しい教育現場を大きく変えるところまでは届きません。必要なのは、現場が困りごとや教育上の意図を発信し、開発側がその文脈を理解して質の高い仕組みにすること。AI-Mateは、その往復をつくる橋渡し役をめざします。
何に時間がかかるのか。何を守りたいのか。生徒にどんな学びを起こしたいのか。曖昧な不満を、具体的な要件へ。
現場の文脈を理解し、安定して使える仕組みにする。教員の試作や検証を、持続可能なプロダクトや支援へ。
これはプロンプトにも通じます。「AIは使えない」と判断する前に、私たちは目的・条件・評価基準を十分に伝えられているか。生成AIの登場によって、教師自身の思考・判断・表現も、これまで以上に問われるようになったのかもしれません。
AI教材活用研究会(AI-Mate)では、授業実践やAI教材・ツールの活用事例を共有しながら、教育現場に合ったAI活用を一緒に考えています。研究会への入会、最新情報、これまでの活動は下記からご覧いただけます。

AIができることが増えるほど、先生が「何を大切にしたいか」を言葉にすることが大事になるね。静岡で見えたのは、AIに任せきるのではなく、AIと一緒に授業と仕事のかたちを考え直す使い方。便利さの先に、もっと良い学びをつくっていこう!
本レポートは、2025年8月3日の発表資料、主催者による概要報告、参加者振り返りフォームをもとに再構成しています。紹介内容は、現在の提供状況に配慮し、個別の旧名称ではなく機能ベースで表記しています。