AI-MATE EVENT REPORT / SHIZUOKA

英語授業で活用できるAI教材
~自動採点&教材作成で授業が変わる!
仕事が終わる!~

評価、教材づくり、スピーキング練習。2025年8月3日、静岡駅直結の会場に集まった教員たちが、「AIを使う」その先にある授業と仕事のつくり方を考えました。

2025.08.03 SUN静岡・静岡市静岡パルシェ 7F 会議室C13:30–17:00
AI-MATE OFFICIAL AI REPORTER
AI-Mate公式AIレポーター アイメ君
アイメ君

現場の実践から、授業づくりと働き方のヒントをレポートします。

この日を貫いていたのは、AIの性能そのものよりも、「教師が何を大切にし、何を改善したいのか」を言葉にすることでした。発話のどこを伸ばすのか。どんな評価基準なら人にもAIにも伝わるのか。現場の困りごとを、どう小さな仕組みに変えるのか。3つの実践から、AI時代の授業づくりを振り返ります。

Speaking × AI即時フィードバックと数量的な言語分析で、「次に何を変えるか」を具体化する。
Making × AI現状と理想を言語化し、日々の小さな困りごとをAIと一緒にツールへ変える。
Assessment × AI手書き答案の自動採点を入口に、評価基準とプロンプト設計そのものを見直す。
鈴木 智久 氏AIによるスピーキング評価を活用した能力育成トレーニング
大端 大 氏AIと共に作る、現場に合わせたツール作成
石飛 守 氏手書き答案のAI自動採点――評価基準とプロンプト設計
情報交換・懇親会発表者と参加者が、学校現場の悩みや実践を共有。
01

スピーキングを「なんとなく上手」で評価しない。

鈴木 智久 氏|静岡県立静岡城北高等学校
FROM SCORE TO NEXT ACTION
点数ではなく、
改善の方向を見える化。
105 → 117事例 I:総語数
132 → 173事例 Y:総語数
112 → 143事例 K:総語数

発表で紹介された3名の高校生の1回目→2回目の発話例。少人数の事例として、発話量や複雑性の変化が検討されました。

発表では、生成AIを利用した英語スピーチ評価の仕組みを使い、教師が設定した観点に沿って生徒が即時にフィードバックを受け、もう一度話す授業構想が紹介されました。ねらいは、言語形式に焦点を当てた練習量を確保し、学習改善につながる情報をその場で返すことです。

特徴的だったのは、「流暢さ4点」のような段階評価だけで終わらせず、AS-unitあたりの平均語数・平均節数、語彙の多様性(MTLD)など、発話を構成する言語的特徴を数量的に見る発想です。「接続詞を使って節を増やす」「同じ主語の繰り返しを減らす」など、次の練習で何を変えるかまで具体化します。

人との対話か、AIか――ではなく、役割分担。生身の相手との対話は、文化的背景の違いや意味内容に向き合う力を育てる。一方、AIは言語形式を細かく見て、反復練習と即時フィードバックを支える。発表では、それぞれの強みを組み合わせる視点が示されました。
OINとAI英会話評価アプリの強みを比較した資料
人との対話は意味内容や多様な視点に向き合う場、AI英会話評価アプリは言語形式を数量的に捉え、即時にフィードバックする場として整理した比較図。

前半では、発話をどう評価するかについて、三つの方法が並べて検討されました。ホリスティック評価は「あなたの発話の流暢性は4です」と数字が返るだけで、学習者は次に何を変えればよいのかがわからない。評価者間の信頼係数が高いからといって、評価者それぞれが段階評価の数値に同じ意味を見出しているとは限りません(Isaacs & Trofimovich, 2012)。

ルーブリック評価は、生徒のパフォーマンスを即座に評価してフィードバックを返せる簡易さの点では有効に機能する可能性がある一方(Bachman & Damböck, 2018)、評価者の主観の域を出ず、数量的な測定は通例行われません。ルーブリックによる段階評価と、Coh-Metrix(コンピュータを利用したテキスト分析システム)による客観的な計量的言語分析の結果は、必ずしも一致しないことも報告されています(Ito & Hamada, 2023)。

これに対してAIを用いた評価では、言語的特性の数量的な測定が瞬時に行われます。ここでいう言語的特性とは、「スピーキング能力」といういわゆるラベルを構成する潜在的な言語指標のこと。発話中に使われた語彙の種類がいくつあるか、1つのスピーチユニットに何語含まれているか、といった水準で発話をとらえ直す考え方です。

ホリスティック評価、ルーブリック評価、AI英会話評価アプリを比較した資料
発話の評価方法を比較した発表スライド。ホリスティック評価・ルーブリック評価それぞれの限界を整理したうえで、言語的特性を瞬時に数量化するAI評価の可能性が示されました。
アイメ君
アイメ君の気づき

評価は、点をつけて終わりじゃないんだね。「次に何を変えるか」が見えると、評価そのものが練習の設計図になるよ。

02

「何を作るか」より先に、「何に困っているか」を言葉にする。

大端 大 氏|静岡県立富士宮東高等学校

第2部は、現場のニーズに合わせてAIと一緒に小さなツールを作るワークショップ。生成AIの知識を得るだけでなく、自分の業務のどこに時間がかかっているか、理想はどういう状態かを先に整理し、その差を埋める仕組みを考えました。

1
生成AIを知る
2
課題を特定する
3
ツールを作る
4
ミニ実践する

プロンプトのコツとして示されたのは、「はっきり具体的に聞く」「前提・全体像を伝える」「一度に全部聞かず、1つずつ進める」という3点。生成AIを魔法の自動作成機として扱うのではなく、対話しながら完成形を近づけていく方法です。

発表資料では、成績入力から能力別の分析やアドバイスを出すExcelの試作例も紹介されました。AIの助言をもとに約15分で形にし、その後、評価基準や関数の確認を追加で指示する――という、現場らしい試行錯誤が共有されました。

AI教材活用研究会・静岡でのワークショップの様子をイラスト化した画像
大端先生のセッション中の会場の様子を、写真をもとにやわらかなイラストにしたもの。参加者が複数のグループに分かれ、現場の困りごとやツールのアイデアについて対話している雰囲気が伝わります。
SMALL PROBLEM → SMALL TOOL
「面倒」を、
そのまま設計材料に。
現状毎回の集計、転記、資料づくりに時間がかかる。
理想入力は一度。必要な形へ自動で整理・分析される。
対話AIに完成形を説明し、少しずつ機能を足していく。

「高度な開発者になる」ことが目的ではなく、現場の課題を言葉にし、試作品をすばやく作って検証できることがポイント。

アイメ君
アイメ君の気づき

「AIで何ができる?」から始めるより、「この作業、毎回つらい!」から始めるほうが、使えるツールになりそう。困りごとは立派な開発要件だね。

03

AI採点の精度を決めるのは、AIだけではない。

石飛 守 氏|AI教材活用研究会 代表/教育テック大学院大学
石飛守氏による手書き答案のAI自動採点に関する発表タイトルスライド
ASSESSMENT DESIGN
答案を読む技術から、
評価を言葉にする技術へ。
Read手書き答案を画像から読み取る。
Judge観察可能な基準に沿って判断する。
Explain点数と理由、改善点を返す。

発表では、和文英訳・自己紹介文・英検形式のライティングなどを使い、手書き答案の読み取りと採点を体験しました。

第3部では、手書き答案を撮影し、AIが読み取り・採点・添削・評価を返す実践を入口に、採点ルーブリックとプロンプトをどう設計すれば、判断のぶれを減らせるかが検討されました。

中心にあったのは「観察可能な段階をどう作るか」という問いです。「よく書けている」「豊かな表現」といった言葉は、人間同士でも解釈がずれます。AIにとっても同じです。何を満たしたらAなのか、どの誤りならどの段階なのか。教師の頭の中にある評価観を、他者が読める言葉に変える必要があります。

AIに丸投げするのではなく、教師の教育観を外に出す。採点の「しくじり」事例を検討すると、AIの問題に見えていたものが、実は指示や評価基準の曖昧さから生まれていることもあります。プロンプト作成は、AI操作のテクニックであると同時に、自分の評価観を問い直す作業でもあります。
アイメ君
アイメ君の気づき

AIにうまく伝わらないとき、「AIが分かっていない」で終わらず、自分の基準を説明できるか考えてみる。そこに、先生自身の学びもあるんだね。

参加者の声

振り返りフォームから、当日の空気が伝わる声を抜粋・要約しました。

授業や業務に使えそうな話が多かった。AIへのプロンプトの与え方を、いろいろ試してみたい。

ためになる内容だけでなく、居心地よく楽しい時間だった。研究会に参加したいと思った。

AIツールは「買って使うもの」だと思っていたが、自分でもさまざまなものを作れると気づいた。

作文指導が増え、採点に苦労している。今日の話を、より効率的な指導につなげたい。

「AIを使うことで人間理解が深まる」という話が印象に残った。より良い指示を考える過程は、教育にも似ている。

スピーキング評価の教員差を減らせそうな点や、手書き答案を高い精度で扱える可能性に驚いた。

会場で生まれていたのは、「便利だった」で終わらない対話。

業務をどう減らすか、生徒にはどうAIを使わせるか、評価をどう揃えるか。教員養成に関わる参加者からも、高校現場の苦労を知れたことや、別の角度からAI活用を考えたいという声が寄せられました。

静岡セミナーから見えた、4つのこと。

1. AIは「観点」を増幅する

良いフィードバックも、良い採点も、まず教師が何を見るかを明確にするところから始まる。

2. 評価基準は観察できる言葉へ

「良い」「豊か」ではなく、何ができているかを説明できる基準が、人にもAIにも必要。

3. 小さな自作は現場改善の入口

毎日の転記や集計など、身近な面倒を試作品に変える力が、教員の選択肢を増やす。

4. 自作だけでも、業者任せだけでもない

教員が現場のニーズを言葉にし、専門家が持続可能な仕組みにする。その往復が必要になる。

現場と開発の間に、橋をかける。

教員がちょっとしたツールを自作できることは、大きな力です。一方で、「何でも教員が作ればよい」「無料で作れる範囲だけでよい」では、忙しい教育現場を大きく変えるところまでは届きません。必要なのは、現場が困りごとや教育上の意図を発信し、開発側がその文脈を理解して質の高い仕組みにすること。AI-Mateは、その往復をつくる橋渡し役をめざします。

教育現場から

何に時間がかかるのか。何を守りたいのか。生徒にどんな学びを起こしたいのか。曖昧な不満を、具体的な要件へ。

AI-Mate
橋渡し
開発・技術側へ

現場の文脈を理解し、安定して使える仕組みにする。教員の試作や検証を、持続可能なプロダクトや支援へ。

これはプロンプトにも通じます。「AIは使えない」と判断する前に、私たちは目的・条件・評価基準を十分に伝えられているか。生成AIの登場によって、教師自身の思考・判断・表現も、これまで以上に問われるようになったのかもしれません。

AI-Mateと、次の実践へ。

AI教材活用研究会(AI-Mate)では、授業実践やAI教材・ツールの活用事例を共有しながら、教育現場に合ったAI活用を一緒に考えています。研究会への入会、最新情報、これまでの活動は下記からご覧いただけます。

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アイメ君
アイメ君から、最後にひとこと。

AIができることが増えるほど、先生が「何を大切にしたいか」を言葉にすることが大事になるね。静岡で見えたのは、AIに任せきるのではなく、AIと一緒に授業と仕事のかたちを考え直す使い方。便利さの先に、もっと良い学びをつくっていこう!

本レポートは、2025年8月3日の発表資料、主催者による概要報告、参加者振り返りフォームをもとに再構成しています。紹介内容は、現在の提供状況に配慮し、個別の旧名称ではなく機能ベースで表記しています。